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『おまえが若者を語るな!』を読んだ。

おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)おまえが若者を語るな! (角川oneテーマ21 C 154)
(2008/09/10)
後藤 和智

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 著者の後藤和智氏は1984年生まれの大学院生。宮台真司、香山リカ、東浩紀、鈴木謙介、荷宮和子、三浦展、寺脇研……、もうボロッカス、けっちょんけちょんにやっつけちゃってる。「実証性なし」「何の根拠があって言ってんの?」「あんたの思いこみでしょ」うむ、確かにその通りかもしれんです。というよりも、ここまでやっちゃって気持ちいいくらいです。

 で、やっつけまくった後に、あとがきで書く。

「多くの読者は、なぜ今更宮台真司などという、ほとんど忘れ去られた論者を批判するのか、と思われるかもしれない」

 グゥ……。大物食い、ここに完結。千代の富士に引退を決意させた貴乃花よりもお見事かもしれませぬ(古いか?)。

 後藤氏の言ってることは、「実証的、客観的なデータをもっと大事にしろよ」ということに尽きる。

「ここ数年に台頭した、実証的な立場からの学説や論説は、これまでの若者論の問い直しを強く迫るものである。(略)その結論として出てきたのは、結局のところ「若者の問題」は若者自身の変化ではなく、若者に対する社会の見方が変わったということと、多くの若者がそれぞれの現実を生きており、その分析、特に若者の格差や貧困をめぐる現象の分析には、既存のモデル(階層や階級、文化的再生産など)が有効ということだ」

 そうして「オールド。リベラルよ、奮起せよ!」だと。まっとうな意見である。

 多くの人々が言及しているので内容に関してはここでは割愛するけど、ちょっと気になったことをいくつか。

 アカデミズム(のジャーナリズム)の世界でも「実証的データ」重視と「哲学的(?)直感」重視の対立があるようだけど、もちろん科学なんだから、あんまり直感でやられちゃ困るわけだけど、ノンフィクションの世界でも、「学術重視」派と「現場重視」派の対立めいたものをちらほら散見している。アカデミズムと違い(変わらないか?)、こちらは圧倒的に「現場派」が優勢で、それはノンフィクションという性質上当たり前なのかもしれないんだけど、とはいえ、完全に過去のデータや理論を無視する一群の人々がいることもまた事実。あくまでも私の周りという限定付きではあるけど、年齢が上にいくほど世間知や社会知といったいわゆる経験が蓄積するからなのか、「学術」の所産を無視する傾向があるように思える。「学者のいうことなんか、聞けるか」「アイツらは世間、社会というものはまるで分かっちゃいねぇ」となるわけだ(気分的にはこの意見に共感したくなるときも多々あるけど)。

 経験か学問か、みたいな対立はとても不毛なんだけど、結構無駄なやりとりになることもしばしばではある。ノンフィクションは新しい事象を追いかけるものだから、古いフィルターを通して見ていたら、大事なことを見落としてしまうわけなんだけど、フィルターの生産者でもなく研究者でもない「現場派」は、フィルターの取替え時期を間違えるとだいぶ間抜けなことになってしまう。本をまったく読まない人が、本を書いているってこと結構あるし。私もそんなに読んでるわけでもないし、経験もあるわけではないのであまり声高に言えることではないんだけど、後藤氏の言うとおり、何の検証もなく、俗論に乗っかって粗製濫造するのはどうかとは思う(きゃっ、しまった、私のことだっ! だからこの手の本はコワイのだ)。

「こういった本を買う人っていうのは、ドキィッとしてしまう人たちなんでしょ」と学術書出版の年配編集者さんが皮肉たっぷりに言っていたけど、ドキッともしなくなる、というか、したくてもできないよりはマシなのか不幸なのか分からないけど、本書でたっぷりと批判されていた宮台氏や宮台門下たちはどう感じているのだろうか。24歳のガキっていうことで(宮台氏は仲間に入れようとして袖にされたみたいだけど)やっぱり無視するのかな。本書を私に手渡した元宮台門下で目下社会知「研修中」の金田智之くん(ちょっぴりやられていたね)は、「やっぱり、スカッとした」と言ってましたけど……。 

 あと、これまた私の周囲という限定付きながら、本書で批判されなかった現代思想系の幾人かが、「今の若者はバカで話しにならない」とかなんとか、酒場で延々うだうだやっていたけど、今現在40歳前後になったその人たちは、ちょっと前までは、ゴリゴリの若者肯定派だった。こういった人たち、確実に相当数います。おそらく後藤氏にとっても批判の対象にならないだろうと思われる人たちであったし、私にとっても結構衝撃だったことを憶えている。位相は違うけど、武闘派でならしていた元ヤクザ氏が「今の若い奴は、キレルと何するかわからねぇ」と言ってて、私は控えめに「アンタの若い頃は、もっとわからねぇ」と心の中でつぶやいたけど、やっぱり、年をとるとああなっちゃうのは仕方ないのかねぇとも思う。自分より若い人の文句をいい始めたら、私は(もはや)完全にアウトだなと思っているけど、ちょっと心配ではある。私はさておいたとしても、今回ぶち上げまくった後藤氏の、20年後の言説をきちんと検証する必要があるだろう。

 ともかく、いろいろと突っ込みどころがあるにはあるが、ここまで喧嘩を吹っかけた後藤氏は、もの凄いプレッシャーと闘っていることだろう。こういうことができるのも、若い人の特権、なぞと書く似非若者肯定派である私の俗物性はいかんともしがたいが、本書の立場は支持したいと思います。    



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繁忙期の備忘録

 前回の記事掲載から日にちがだいぶ開いてしまった。ちょびっと飽きちゃった、というのもあるけど、繁忙期でもあるんですよ。ということで、いくつか備忘録的に。

 ある中堅出版社の幹部とお話しした折、「漫画が欧米でかなり売れている」とのことで、現地に行く営業部員にとっては日本以上に鼻が高いということらしい。各国のバイヤーがこぞって著作権を買いにくるし、なおかつレスペクトまでされるというからオドロキだ。幹部は「うちの出版社は規模は小さいながらも、『世界商品』を持っているということで、今後に期待が持てる」とおっしゃっていました。

 一説によれば、日本の経済を引っ張っているのは人口の5%くらいの人たちで、残りの人たちは「いてもいなくても同じ」ということらしい。日本政府としても世界で競争できる資本、人に金を出したり税制上の優遇措置をせざるを得なくなるわけで、残りの人たちに対する目線が、どうしても怠りがちになってしまう。この5%という数は、今後新興国の勃興などから、さらに少なくなるわけで、いわゆる「勝ち組」の枠は小さくなり、格差は拡大する一方と相成ってしまう。

 世界経済に連なっていると自負している連中も、今は必死だろう。「憧れの外資に入社したら、バラ色の人生」なぞとほざいていた連中がちょっと前まで大量にいたが、リーマン・ブラザーズの倒産は、ざまぁみろのひと言である。資本主義は、「勝ち組」にも厳しいんだゾ!(もちろん「負け組」にはさらに厳しいけど……)

 少し前にアフガン帰り(30代後半)とグルジア帰り(20代後半)のカメラマン二人たちと酒を飲んだけど、「戦場カメラマン」という存在は、言ってしまえば、強引に究極の「世界商品」=戦争と絡もうとしている「破れかぶれ組」である。何のアテもないのに、HISに「アイ・ウォント・トゥ・ゴー・トゥ・グルジア。あーうー、ジョージア?」なんて言って何とか当地に降り立ち、そのまま「アイ・ウォント・トゥ・ゴー・トゥー・フロントライン(前線)」と現地のタクシーの運転手に言って、当然のごとく「ノー!」と言われ、「ホワイ?」とお馬鹿なやり取りをした結果、何とかロシア軍がいるところまで連れていってくれたタクシーから、その場においてけぼりにされそうになりながらも、何も「決定的瞬間」を取れなかったIカメラマンは、アホだけど、ナイスガイだ。そのままナイスガイを続け、ナイスなダイ(死)を全うしてくれたまえ。

 とはいえこんな連中は相当変わった種族であって、我々残りの95%は、身を寄せ合って相互扶助をやっていくほかないんだけど、まあ古今東西変わらず、95%同士が足の引っ張り合い、潰し合いを繰り返してしまっている。その最たる場所の一つが新宿の歌舞伎町だったりするんだけど、そういえば「9月出版」と言っていたけど、「歌舞伎町本」もうちょっと先になります。必ず出ますのでちょいとお待ちを。

 一方で、ガソリンスタンドのアルバイトたちがユニオンを作り、会社と労働争議をした顛末を東京テレビの「ガイアの夜明け」がやっていたけど、その中心人物の勝間田翔さんを先日インタビューした。だいぶ草食的な男子で、生き辛そうだった。カメラ片手にタイ、インドに行くらしいけど、元気な「破れかかぶれ組」になってくるといいのですが……。

 この前会った飛鳥新社の編集者赤田祐一さんは、「アイデンティティ不安に陥る人ってなんでそうなるんでしょうね」と少年の目をくるくる回しながらおっしゃっていたが、私は「何で、分からないのかが、分かりません」と答えたが、彼によれば今の20代、30代の出版関係者に共通するのは「不全感」らしい。その不全感を克服しようと「破れかぶれ組」はあの手この手を尽くしているのかもしれない。赤田さんはそんな「破れかぶれ組」がどうやらお好きなようである。しかし、どうやって付き合えばよいのか、苦吟しているようでもある(してないか)。

 とまあ、いろんなことがありつつも、成果はあまりあがっていない昨今ではあります。本当に破れてしまっても仕方がないので、のんびり「破れかぶれ」をやるほかないというところで、今回はお開きにしたいです。 

中国情報あれこれ。

 9月に入ってもまだ暑い。どーにかならんのかね、まったく。

 中国の領事館を沖縄に開設計画の噂、中国公安部が日本国内のチベット独立派、新疆ウィグル独立派の人間を公然監視、8月に日本で開かれた「中国・アジア民主化支援世界大会」に中国公安当局のSが紛れ込み、歌舞伎町某所において大喧嘩などなど、中国関連のいろんな筋からのお話しをチョビッと紹介。中国国内のみならず、日本国内においても跳梁、暗躍するエージェントたちの動きは、とても錯綜としている。日本の公安当局は、この動きについてこれているのかどうか。

「日本の公安筋は、一人一人は優秀だけど、3、4年くらいの周期で部署が変わる。そうすると人脈から情報まで引き継がれず、一から学ぶことになり蓄積されない」(ある亡命中国人団体幹部)

『中国「秘密結社」が共産党政権を倒す日』(茅沢勤著 講談社α文庫刊)によれば、中国国内において、雨後のたけのこのごとく中国共産党外の組織、グループが生まれていることを記述しているが、そういった組織、グループの動きは海を挟んだここ日本においても私の範囲でも散見される。ちょっと今の日本では考えられない戦国の模様を呈している中国は、今後どうなっていくのだろうか。

 と、まあハードボイルドはさておいて、中国国内では日本のアニメ、漫画などサブカルチャーが大人気である。向こうのブローカーも、日本の著作権を取得することに必死になっている模様だが、国家間の駆け引きはそれはそれとして、カルチャーによる交流で中国問題あれこれを換骨奪胎できるのではないか、とも思う。知り合いのサブカルチャー関連の泰斗たちにホラを吹きまくってみようと思っている。ザ・ビジネス・チャーンス! (バカ)


プロフィール

小野登志郎

Author:小野登志郎
職業 ノンフィクション・ライター。ハードボイルドに疲れてきた三十路後半男。枯れていくばかりの人生を楽しむことにします。

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