緊張感。

 マレーシアで覚せい剤を密輸しようとした邦人女性が逮捕されている。死刑になる可能性もあるとのことだが、この女性、この他にも何度も「運び屋」の仕事をやっていたのだろう。頻繁に同国を出入りしていたことが報道されている。

 あるヤクザ関係者から聞いた話だが、覚せい剤の密輸は、取り締まりの強化からとてもリスクの高い仕事になっているという。その分リターンも高いからこそ後を絶たないわけなのだが、実際の摘発率、要するに「運び屋」を何回やったら捕まるのか、といった可能性に関しては、もちろんのこと謎である。この率に関しては、捜査資料や報道からは読み取ることは不可能だ。また、一人や二人の「運び屋」経験者からその経験談を聞いたとしても、その正確なところはわかりはしない。なんでこんなことを考えたのかというと、マレーシアで捕まった女性が、覚せい剤の密輸で得る利益と、死刑になるかもしれないといったリスクとをどのように考えていたのか興味を持ったからである。

 アメリカとメキシコの国境地帯では、地元マフィアが越境の手引きの指南、費用の代わりに不法移民たちに違法薬物を持たせて越境させているとのことだ。ある酒席で、この場合の成功率はいくらなのかと話題になったが、「7回に一度の割で摘発されると何かの本で読んだ」とある人が言い、妙に納得してしまった。その真偽のほどはもちろんわからないのだが、なんとなくこの割合くらいが妥当のような気もしないではない。現実の日本には多量の薬物が蔓延しているわけであって、この割合くらいの率に自分のすべてを賭けている「運び屋」たちが無数に存在していることは間違いがない。

 この運び屋たちの決して表には出ない可能性は、果たして高いのか低いのか、その判断は、それぞれの人間の置かれた状況によるだろうが、欲に目がくらんだというだけの理由で実行に移される世界ではないだろう。重罪には違いないが、極刑の可能性のあるマレーシアの邦人女性の裁判はとても気になっている。

 
 話は突然代わる。昨日、また野球をやった。相手チームはかなり強いとのことだったが、我がチームが8−2で勝った。なぜか四番(サード)打者を任せられた私だが、3打数1安打2三振、1失策という、大役の割にパッとしない成績に終わったのだが、強烈なゴロを身体(の一番大事なところ)で止めるなど、何かとハッスルはしたつもりである。寒い中、緊張感のある試合で、個人的に今シーズン最高のゲームだったと思っている。

 緊張感は心地よいと思える、これくらいの方がいい。「運び屋」たちの胸を潰される緊張を想いながら、昨日は、気分良くチームメイトと酒を飲むことができました。 

セットアッパー。

 また、野球である。昨日は、ミリオン出版チームの試合に参加。この数カ月で皆だいぶ上達したこともあり、十点以上の大差の勝利とあいなった。この私も、5回表に満を持して登板。1イニングを2四死球、1三振、無失点という、レッドソックスの岡島ばりの抜群の安定感を示した。その後の飲み会も盛り上がり、深夜5時まで野球談議に花が咲いた。次回登板までに、伊藤智仁の魔球スライダーをマスターしておこうとさえ思っている。

 野球を始めたことで、思い出させてくれることがたくさんある。繋ぎ、ということもまたそうだ。セットアッパー経験は初めてだったが、試合全体を壊すようなことはあってはならず、しかし、決して主役というわけではない役割は、個人的にとても貴重な経験だった。花が咲いた飲み会でも、当然のごとくほとんど話題に乗らなかったけれど、こと野球に関しては、セットアッパーという地味だが貴重な役割を、なんとか果たせるようになりたいと、ちょっぴり本気で思っている。

 取り戻す肉体と共に、気力が充満しつつある、ウツテナシでありました。



朝日新聞、10月18日付け朝刊、読むべし!

 本日の朝日新聞朝刊は、極めてヤバい。何をやっているんだ朝日! というくらいのもので、いろんな意味でインパクトがあり悪ノリ感=解放感すら感じられる。個人的にこれはスクープと言える代物だと思う。

 というのも、怒羅権などの中国人不良集団や日本のヤクザを一面で取り扱っているのである。実話誌ではなく、あの朝日新聞の記事に、ヤクザや怒羅権の刺青が載っているのである。要るのか、それが。大いに笑える。
 中でも「怒羅権のリーダー」と、マスコミや警察関係者に言われる「大偉(ダーウェイ)」に、記者が中国北京まで会いに行っているのだが、本記事は読みようによっては、拙著『龍宮城』の続編的位置にあると、あえて言わせてもらうとするならば、ぜひとも全国7万の『龍宮城』読者の皆様には、読んでいただきたい記事である。個人的には、クソゥ……と思うところが無いでもないが、ここまでやってくれると、もはや爽快なくらいだ。ノリピーやらをやるんではなくて、こういった社会の地底にある人物、事物に、照準を当てることこそが「ジャーナリズム」というものではないのか! 少しは雑誌も見習って欲しい、とちょっぴり言い過ぎてみる。

 いろいろ書きたいことがあり過ぎるのだが、諸般の事情でそれができないのが残念だ。しかし、いずれ記者魂の籠ったこの朝日新聞の記事を越えるものを書くつもりなので、乞うご期待といったところだ。 

 ウ〜ン……。しかし、まあ、Oさん、お疲れさまでした。



4周年。

 昨日は都内でひっそり営業している私のお店で、4周年記念パーティーを開いた。狭い店で座れない人がでてしまうのが心苦しく、今回は親しくさせていただいている関係者の皆様だけご招待させていただいた。しかし、やはり立ち飲みを余儀なくされた方も出てしまった。申し訳ありませんでした。さらには、いつもはひっくり返る大場がしゃんとして、逆に疲れてしまった私がダウンしてしまった。深夜3時を過ぎても「チャーハンが食べたい」とむずかるライターのユーリを店から叩き出すのに一苦労したが、それが限界。早朝野球に慣れた今の健康体では、取材対象者から午前6時に飲みを誘われていた『龍宮城』時の取材は望むべくもないだろう。つくづく融通が利かない、柔軟性の無い身体になってしまったことを痛感する。

 広いお店が持ちたいと思っている。ライターなのに店なんかやって、とかいろいろ言われているが、なんと言いますか、好きなんですね、人が集まるのが。いつもはパソコンの前で孤独にパコパコやってるからかもしれませんが、皆さんに喜んでもらえるのが嬉しいというのはあるんですね。仕方ねぇなと思い、来店くださっている方もいるとは思いますが、私どもなりに必死にやっております。少しずつではありますが、改善するべき、できるとことろは直しながら4年が経ってきたように思います。皆様、今後とも温かく見守ってくだされば幸いなのです。
 
 しかし、私が敬愛しているとある報道関係者I氏が愛妻殿を伴って来店くださったことは、とてもうれしかった。彼は、いろいろと面倒のある立場にありながら、次々と新しい材料、視点を持ちこんで報道している方なのですが、かなりヤバい人間をぎりぎりのラインまで取材していきながら、人が時に踏み外してしまいがちなところを飄々と乗り越えていくんですね。しっかとした職業倫理というか論理を確保している先輩だと思います。そういう方と共にある伴侶殿もまた、知的な美しさを持つ方で、場が華やぎます。いろんな理屈をこねくり回すよりも、このような華やぎこそが状況を変えていくこともあり、素直にいいなあと感じ入った次第です。こういう出会いがあることが、「ライターのくせに」お店をを続けている理由なんだなぁと改めて思いいたった次第です。

 パパラッチだらけの魔窟であるはずのお店で、名刺を配りまくっていた某省の官僚殿もフラットな気さくさを振りまいていて、とても良かった。某新聞社でワーカホリックになっている学生時代の後輩Kも、なんだかむやみに立派になっているし、長く付き合いのある同世代の連中も、どんどんハクが付いていっている。私もがんばらないとなあと思いながら、乱痴気ではありますが、しかし、自分のやるべき何かを一つずつこなしていく誠実さも感じられた夜なのでした。
 
 でも、疲れたぁ〜……。 

民主と幸。

 はっきり言って、私は鳩山幸さんが好きです。親しい週刊誌記者が、その幸さんのアラ探しにアメリカにまで飛んでいくと聞いて、「行ってらっしゃい」と言いながらも、私は内心この男をどうかしてやらんといかんと本気で思ったものでした。「宇宙話」で盛り上がっているが、なかなかどうして、とても知的で肝の据わっている方らしいですよ。でも表面的には、物腰優雅で言葉もハキハキしていて、そしてどこか天然。こんなアラシックスは、日本の総理夫人史上最高傑作なのは間違いなく、今後の新しい女性像の一つになるやもしれない存在なのだ。私は静かに彼女を守る決意をしているのでした。

 とはいえ、民主党にはいろんな問題が山積しているのは事実のようだ。「内憂外患」と、ある民主党の幹部が言っていたが、外患はともかく内憂すら処理できていないのが実情なのだろう。与党として鉄壁のガードを誇ってきた自民党に長く対峙してきた記者連中にとって、民主党のガードの低さは、時に呆気にとられることもあるほどらしい。私も以前、覚せい剤で捕まった民主党議員の取材をやったことがあるが、「こんなのが政治家やってんの?」と、まだまだ日本は捨てたものじゃないと深く慨嘆したものです。寄りあい所帯の引き締め役で、公然と院政を敷いている小沢一郎にしても、その病状の深刻さは私の耳にもよく入ってきており、やはりいつその時がきてもおかしくないということのようだ。周辺では、世襲禁止を掲げる民主党の中で、第三あたりの秘書を務める小沢氏の実子さんはどうするのかと、話題にもなっていた。モンスター小沢の息子さん、どんな人なんだろうとしきりに興味がわく今日この頃であります。

 鳩山幸さんは、先の大戦中上海で生まれている。上海と言えばそうだった、私の第二の拠点となるべき場所。なんだ、私の守備範囲ではないかと、今度上海に行った時には、ちゃんとした応援団長になれるかどうか分かりませんが、その生家なりを取材してこようと思っているところです。鳩山政権がどれほど続くのか分かりませんが、夫が倒れても、まだ幸さんがいる! がんばれ、がんばれ、幸さん! 頑迷でハードボイルドを地で行く(はずの)一ノンフィクションライターの、必死のエールなのでした。 



プロフィール

Author:小野登志郎
職業 ノンフィクション・ライター。不眠気味で痔持ち。「ハードボイルド」と書いて「無感動」に痺れるタフ・ガイ三十路。ノーフューチャー。

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